竹刀の素材は、真竹(まだけ)竹刀と桂竹(けいちく)竹刀、カーボン竹刀の3つに大きく分けられます。
桂竹は、主に台湾で産出されている竹で、繊維の密度が真竹と似ている材質で、堅さがあります。堅さゆえに割れる際に大きく縦に割れてしまい、真竹よりささくれ易くなりますが、生産本数が多いので安価になり、剣士の間では最も人気のある竹刀の素材です。
真竹(まだけ)は、繊維の密度、柔軟性、色、つやなどが最も優れている素材です。古くから日本で使用されている竹材で、最近では中国産のものも出回ってきています。竹肉の裏側まで繊維が堅く、傷んできても割れやささくれが少ないので、こまめに手入れや修理を行うと結構長持ちします。とれる数が少ないので、高価な竹刀が多くなります。
炭素素材のカーボン製竹刀です。竹のように割れたりせず丈夫で耐久性があり、手入れが容易なため小中学生を中心に使用されています。一方で、竹よりもはるかにしなりが大きく、打感や打突時の音はかなり劣ります。また高校生以上は、しなりが突き技にそぐわないという側面もあります。破損が少ない代わりに、1本が高価であることも特徴です。
竹刀を選ぶにあたって、「全日本剣道連盟」が定めた規定があります。
試合にはどんな竹刀を使ってもよいわけではなく、年齢と性別によって試合に使ってよい長さ、重さ、太さに違いがあります。
対象 | 中学生 | 高校生(相当年齢の者も含む) | 大学生・一般 | ||
---|---|---|---|---|---|
長さ | 男女共通 | 114cm以下 | 117cm以下 | 120cm以下 | |
重さ | 男性 | 440g以上 | 480g以上 | 510g以上 | |
女性 | 400g以上 | 420g以上 | 440g以上 | ||
太さ | 男性 | 先端部最小直径 | 25㎜以上 | 26㎜以上 | 26㎜以上 |
ちくとう最小直径 | 20㎜以上 | 21㎜以上 | 21㎜以上 | ||
女性 | 先端部最小直径 | 24㎜以上 | 25㎜以上 | 25㎜以上 | |
ちくとう最小直径 | 19㎜以上 | 20㎜以上 | 20㎜以上 |
表1 竹刀の基準(一刀の場合)
対象 | 大学生・一般 | |||
---|---|---|---|---|
大刀 | 小刀 | |||
長さ | 男女共通 | 114cm以下 | 62cm以下 | |
重さ | 男性 | 440g以上 | 280~300g | |
女性 | 400g以上 | 250~280g | ||
太さ | 男性 | 先端部最小直径 | 25㎜以上 | 24㎜以上 |
ちくとう最小直径 | 20㎜以上 | 19㎜以上 | ||
女性 | 先端部最小直径 | 24㎜以上 | 24㎜以上 | |
ちくとう最小直径 | 19㎜以上 | 19㎜以上 |
表2 竹刀の基準(二刀の場合)
画像出典:全日本剣道連盟「剣道試合・審判規則の改正について」
竹刀の素材や型によって持った時の感覚は異なります。実際に持ってみての持ちやすさや取り回しやすさ、自分のプレイスタイルに合った竹刀を見つけましょう。
耐久性 :★★★★
手元の重心:★★★
剣先の軽さ:★★
打ちの重さ:★★★
最も一般的な型。
耐久性 :★★★★
手元の重心:★★★★
剣先の軽さ:★★★
打ちの重さ:★★★
手元に重心があるため軽く感じる。
耐久性 :★★
手元の重心:★★★★★
剣先の軽さ:★★★★★
打ちの重さ:★★
手元に重心があるため軽く、剣先が細いため近距離での連続技に向く。
耐久性 :★★★★
手元の重心:★★
剣先の軽さ:★★
打ちの重さ:★★★★
節部分のふくらみが少なく、全長に渡って同じ太さ。力の強い打突を打ちやすい。
耐久性 :★★★
手元の重心:★★
剣先の軽さ:★★
打ちの重さ:★★★
柄が細く、手の小さい方用の竹刀。手元が細い分重心が剣先に寄っている。
耐久性 :★★
手元の重心:★★★★★★
剣先の軽さ:★★★★★
打ちの重さ:★★
柄が太く、手の大きい方用の竹刀。手元に重心があり、竹刀の中で最も振りが軽く感じる。
耐久性 :★★★★
手元の重心:★★★
剣先の軽さ:★★
打ちの重さ:★★★
柄の形状が小判型で日本刀の形状に近いため、正しい握り方を覚える目的で使用されることが多い。
木刀の素材は下記の他にも様々なものが存在しますが、比較的使用されているのは安価な赤樫や白樫です。
剣道で使用する上では材質の指定はありませんが、剣術においては、流派によって使用する木刀の材質や形状が定められていることもあります。
赤樫木刀には、本赤樫(材木が赤樫でできている木刀)と、イチイ樫からできている木刀があります。本赤樫は、局地的な原生林などでしか見ることができない希少な木であるため、近い種でもあるイチイ樫が一般的に赤樫として普及しています。赤樫の材は、日本産の材木の中で最も重く硬いもののうちの一つであるとともに、加工しにくい木材です。赤樫の木刀は比較的軽量であるため、打ち合い・形・素振りといった武道全般に向いています。
本赤樫と同様に、非常に重硬で強靭な木材です。白樫の木刀は、材質上ささくれやすく、打ち合いの際に手に衝撃が伝わりやすいというデメリットがあります。その一方比較的硬く、折れにくいというメリットがあります。赤樫の木刀に比べると、白樫の木刀の方が安価に手に入ります。重量・強度もあるので、打ち合いや素振り、実戦的な稽古などに大変お勧めです。
スヌケとは、重く硬いイスノキの芯材のことを指します。近年では、著しく希少化が進み、やがては手に入らなくなると言われています。贈答用の高級品木刀として黒檀と並んで人気があります。非常に強度・重量に優れている反面、粘りがないため、割れたり折れたりしやすく、打ち合いや実戦中心の稽古には不向きです。
黒檀とは、カキノキ科の常緑高木材のことを指します。木目の特徴や他の類似する木と区別するために本黒檀(ホンコクタン)、縞黒檀(シマコクタン)、真黒(マグロ)などと呼ばれることがあります。色合いは黒みがかった濃い茶色であり、高級感のある見た目から装飾・贈答用として使用されます。非常に重硬で強靭な反面、粘りがないため、割れやすく、打ち合いのような実戦中心の稽古には不向きです。
鍔は突いた際に自分の手が刃に滑っていかないためのストッパーであったり、相手の攻撃から甲手・小手を守るためにつけられています。
もとは南北朝から室町時代にかけて、刀を体に差す打刀スタイルが定着した際に鍔も広まりました。
竹刀に用いられる鍔は一般的に円型で、木刀に用いられる鍔の多くは木瓜型になっています。
トンボの別名には「勝虫(かっちゅう)」というものがあります。また、トンボは飛ぶ時に前進のみで、後ろに下がることがありません。この2点から、トンボは武士に縁起担ぎとして大切にされてきました。
基本的にアクリル製で、デザインがプリントされたものを言います。使う本人の好みで選ぶのでモチベーションが上がりますが、あまり華美な鍔を使用していると、公式戦では注意を受けることがあります。
天然のものなので、色味などがひとつひとつ異なります。見た目は化粧鍔と比べるとシンプルですが、鍔の中でも高級品で、特に革鍔に適している素材は水牛と言われています。
鍔の中で最も安価に手に入れることができます。ひとつ100円を切る物も少なくないので、剣道を初めてスタートする人に向いています。安価な反面、割れやすいです。
竹刀の持ち手の柄の方から鍔を入れ、次に鍔止めを入れて鍔の位置を固定します。
鍔止めにはゴム製のもの、中央部分がゴムで回りが布製のもの、なめし皮製のものなどがあります。ゴム製のものが安価で、なめし皮製のものは高価になります。
繰り返し着脱すると固定する力が緩むので、消耗してきたと感じたら買い替えましょう。